土屋品子復興相が5日、能登半島地震で被災した石川県珠洲市や能登町を視察後、記者団の取材に応じ、人口減や自治体の財政難を踏まえた「令和の復興」のあり方について、「できる限り、住民と話をしながらの集約化はしていかないと」と述べた。
能登地震の集約化をめぐっては、財務相の諮問機関が4月、「集約的なまちづくりも検討していく必要がある」と、完全復旧をめざさなくてもよいとの考えを提言。これに対し、石川県の馳浩知事は「(復興計画に)冷や水をぶっかけられたような気持ち」などと反発していた。
県が先月示した被災地の創造的復興プランにも集約化のことは触れられなかった。県には、集約化などの判断は「一義的には市町で」という考えがあるからだ。
3月以来の来県となった土屋氏はこの日、津波被害のあった地区などをまわった後、県庁で取材に応じた。記者団に「無理な集約化は、かえって(住民の)心が離れることがあると思うが、できる限り、やはり住民と話をしながらの集約化はしていかないと」と述べた。
続けて、「日本の人口も減っていくし、地方自治の財政面でも相当厳しいものがある。やはりそういう(集約化の議論に)協力していただく姿勢を、首長さんも訴えていく必要があるのかなと思った」と語った。
馳知事もコンパクトシティーの実現など、集約化、効率化の議論が各所で出ていることは承知している。県自身も奥能登の公立4病院の統合も見すえた医療体制の強化の議論を7月にもスタートさせる予定だ。
一方、知事は、憲法に居住の自由がうたわれていることなどにも触れ、「まずは判断できるデータや考え方を行政としてお示しするのが賢明。(そのうえで)おのずと集約されていくのかなあと思う」などとこれまでの取材で話している。(土井良典)